幸せな結婚生活を叶えるために、婚活中から知っておきたいこと
【第7回】「尊重」とは、相手を思いどおりにしないこと

これまで、「配慮」「責任」と、
フロムが考える「愛する技術」についてお伝えしてきました。

今回は、その三つ目である「尊重(Respect)」について考えてみましょう。

「尊重」と聞くと、
「相手の意見を受け入れること。」
「相手を優先すること。」
そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。

でも、フロムがいう尊重は、それだけではありません。

尊重とは、「あなたはあなた、私は私」と認めること

夫婦でも、育ってきた環境は違います。
価値観も、考え方も、感じ方も違います。

だから、意見が違うことは決して悪いことではありません。

それなのに、
「普通はこうするでしょ。」
「どうしてそんな考え方なの?」
「それは間違っている。」

そんなふうに、自分の価値観を相手に押しつけてしまうと、
相手はありのままの自分を出しにくくなってしまいます。

フロムがいう【尊重】とは、
相手を自分の思いどおりに変えようとせず、
一人の人間として認めること。

つまり、
「あなたにはあなたの考え方がある。」
と受け止められることなのです。

尊重がないと、愛は支配に変わってしまう

愛しているから心配する。
愛しているから意見を言う。

もちろん、それ自体は自然なこと。

でも、その気持ちが、
「私の言うとおりにしてほしい。」
「あなたのためだから従って。」
という形になってしまったらどうでしょうか。

そこには、相手の意思や考えを
尊重する姿勢がなくなってしまいます。

愛は、
お互いが自由な一人の人間として認め合うことで育つものです。

相手を思いどおりにしようとした瞬間、
愛は少しずつ支配へと変わってしまいます。

私が夫婦問題のご相談を通して感じてきたこと

私はこれまで、
長年にわたり夫婦問題に悩む多くの女性のご相談をお受けしてきました。

その中で、ある共通点に気づきました。

苦しい夫婦関係は、
最初から愛情がなかったわけではないということです。

結婚したときは、
「この人と幸せな家庭を築きたい」と、
お互いに願っていたご夫婦がほとんどです。

それでも関係が苦しくなってしまうのは、
少しずつ「尊重」が失われていくからです。

最初は、小さなすれ違いだったのかもしれません。

「そんな考え方はおかしい。」
「普通はこうするでしょ。」
「なんでそんなこともできないの?」

そんな言葉が少しずつ増えていくうちに、
一方は自分の気持ちを安心して話せなくなり、
もう一方は「自分の考えが正しい」と信じるようになってしまいます。

私は、そんなご夫婦を数多く見てきました。

だからこそ思うんです。

幸せな結婚生活を続けるために本当に大切なのは、
価値観がまったく同じ相手と出会うことではありません。

価値観や考え方が違っても、
「あなたはそう感じるんだね。」
と、お互いを一人の人間として尊重し続けられること。

その積み重ねが、安心して本音を話せる関係を育て、
何十年先の信頼へとつながっていきます。

私は、これこそがフロムが伝えたかった「尊重」であり、
幸せな結婚生活を支える大切な土台なのだと思っています。

婚活では「意見が違ったとき」を見てみましょう

婚活では、趣味や価値観が合うかどうかに目が向きがちです。
もちろん、それも大切です。

でも、私はそれ以上に見てほしいことがあります。

それは、
「意見が違ったとき、その人はどんな態度をとるか。」
ということです。

例えば、
「そういう考え方もあるんだね。」
と話を聞いてくれる人でしょうか。

それとも、
「いや、それは違う。」と、
自分の考えだけを押し通そうとする人でしょうか。

結婚生活では、意見が違う場面は何度もあります。

そのたびに話し合い、
お互いを理解しようとする姿勢があるかどうか。
そこに、その人の「尊重する力」が表れます。

婚活中は、「価値観が合う人」を探すだけでなく、
「価値観が違っても話し合える人かどうか」という視点でも、
お相手を見てみてください。

尊重は、自分を大切にすることでもある

最後に、もう一つお伝えしたいことがあります。

尊重とは、相手だけを大切にすることではありません。
自分の気持ちや考えも、同じように大切にすることです。

本当は嫌なのに我慢を続けること。
相手に合わせ続けること。
それは尊重ではありません。

夫婦だからこそ、
「私はこう思う。」
「あなたはそう思うんだね。」

そんな会話ができる関係を育てていくことが、
本当の尊重なんです。

幸せな結婚生活は、
お互いが自分らしくいられる安心感の上に
築かれていくものなんです。


次回予告

フロムは、「配慮」「責任」「尊重」と並べて、
最後に「理解(Knowledge)」を挙げています。

相手を尊重するためには、
相手を知らなければなりません。

でも、本当に相手を理解するとは、
どういうことなのでしょうか。

次回のChapter8では、フロムが語る「理解」について、
一緒に考えていきましょう。